1.基本方針
この基準はすべての放送番組および広告に適用される。
(1) 人種、民族、国民、国家、国情に関する資料は特に客観的で権威あるものを使用する。
(2) 個人、団体、職業、産業に対する中傷的言詞、名誉を傷つけるような内容又は表現を避ける。
(3) 国民生活に重大な影響を及ぼす社会公共問題については慎重を期し、意見が対立しているときは、公平に取り扱い、その出所を明らかにする。
(4) 人心に不当な動揺や不安を与えるような内容又は表現を避ける。
(5) 特に経済界に混乱を与えるおそれのある問題は慎重に取り扱う。
(6) 法律や社会正義に背く行為に共感を起こさせたり、あるいは他人の模倣の意欲を起こさせたりするような取り扱いをしない。
(7) 公の秩序や善良な風俗に反する行為、習慣を是認するような取り扱いをしない。
(8) 結婚制度と家庭生活を尊重し、これを破壊するような思想を肯定的に取り扱わない。
(9) 政治に関しては不偏不党、公平に取り扱う。
(10)宗教に関しては、信仰の自由を尊重し、各宗派の立場を重んじ公平に取り扱う。
2.番組基準
この基準は、下記の各番組相互間の調和と適性を保つものとし、特に守るべき事項を示す。
(1) 報道番組
報道番組とは時事に関する速報、説明又は意見を直接取り扱う番組をいう。
① ニュース及びニュース解説は、すべての干渉を排し、事実を客観的に且つ正確公平に取り扱う。
② ニュースの表現は、残虐悲惨等の感情を極端に刺激しないよう注意する。
③ ニュース及びニュース解説、実況中継は、不当な宣伝に利用されないよう特に注意する。
④ ニュースの中で意見を取り扱うときは、事実と意見を厳密に区別する。
⑤ ニュースの解説は、ニュースと厳密に区別し、放送者の氏名を明らかにする。
⑥ ニュースの誤報は、速やかに取り消し又は訂正する。
(2)教養番組
教養番組とは、国民の一般的教養の向上を直接の目的とするものをいう。
① 番組内容の一部や引例が適切でないため、制作意図に反して、聴取者に好ましくない印象を与えることのないように注意する。
② 社会的に悪影響を及ぼす模倣を容易に誘発しないように注意する。
③ 宗教番組では他宗、他派を誹謗しない。
(3)教育番組
教育番組とは、学校教育又は社会教育のための番組をいう。
① 教育番組は、その放送の対象となるものが明確で、内容はそのものに有益適切であり、組織的且つ継続的であるようにする。
② 教育番組は、その放送計画及び内容を、あらかじめ公衆が知ることが出来るようにする。
③ 教育番組で、学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するものであること。
④ 教育番組は、広く各界の意見を聞き、聴覚の特性を生かして教育的効果を発揚する。
⑤ 学術研究など専門的事項に関しては、その番組基準の諸規定にかかわらず、良識に基づいて具体的又は詳細に取り扱うことが出来る。
⑥ 学校向けの教育番組には、学校教育の妨げになると認められる広告を含めない。
(4)児童番組
児童番組とは、児童の心理に与える影響を考慮して、児童の健全な常識と豊かな情操を養う番組をいう。]
① 児童の品性を損なうような言葉や、粗野な表現は避ける。
② 児童が感化されやすい悪徳行状の取り扱いには特に注意する。
③ 男女間の愛情や性愛の問題は、その内容と児童の年齢を考慮し、慎重に取り扱う。
(5)娯楽番組
娯楽番組とは、健全な慰安を提供して生活内容を豊かにする番組をいう。
① 不快な感じをいだかせるような下品、卑わいな表現や言葉は使わない。
② 方言を使うときには、不快な感じをあたえないように注意する。
③ 不具、疾病、白痴等、肉体的身体的欠陥に悩む人々の感情を刺激しないように注意する。
④ 犯罪の手口を明示又は解説するときは、故意に犯罪を魅力的に表現したり、模倣の意欲を起こさせたりするような描写はしない。
⑤ 凶器の使用はなるべく少なくし、模倣の動機を与えないように努める。
⑥ 犯罪容疑者の逮捕、尋問方法及び訴訟の手続きや法廷の描写など正しく表現する。
⑦ 殺人、拷問、暴力、私刑などの残虐行状、その他肉体的、精神的苦痛を誇大又は刺激的に表現しない。
⑧ 婦人及び児童の虐待、又は人身売買を是認するような表現又はその詳細な描写は避ける。
⑨ 麻薬及び覚せい剤の使用は、医療及び悪例としての表現以外は避ける。
⑩ 心中、自殺その他人命を軽視する言動を是認するような取り扱いはしない。古典又は芸術作品についても慎重に期する。
⑪ 性犯罪、変態罪、変態性欲などの取り扱いは避ける。
⑫ 性心理に関する描写又は表現は、性に未熟な聴取者を考慮して慎重に扱う。
⑬ 肉体的描写、寝室描写など官能的な素材を扱うときは、刺激的な表現は避ける。
⑭ 聴取者参加番組については、参加の機会を均等にし、広く聴取者一般に及ぶように努める。
⑮ 聴取者参加番組の審査は、出演者の技能に応じて公正を期する。
3.広告基準
この基準は特に広告放送に適用される。
(1) 広告放送の明示
広告放送は、コマーシャル・メッセージ又は放送局の告知によって、広告放送であることを明らかにする。
(2) コマーシャル・メッセージの定義
コマーシャル・メッセージとは、直接、間接に広告主の名称、商品、商品名、サービス名、商標、標語などを聴覚的に提示して、聴取者の注意を引こうとするものをいう。
(3) コマーシャル・メッセージの責任
コマーシャル・メッセージはすべての真実を伝え、誠実に守るとともに、関係法令に従い責任を負いうるものとする。
(4) 番組との調和
コマーシャル・メッセージはその種類に応じ、番組の聴取効果を考慮して、番組の内容とよく調和するように努める。
(5) 広告の取り扱い
次に掲げるものは取り扱わない
① 事実の有無を問わず、他を誹謗し又は排斥中傷するもの。
② 事実を誇張して聴取者に過大評価されるもの。
③ 聴取者に嫌悪の感を与えるおそれのあるもの。
④ 責任の所在が不明なもの、暗号と認められるもの。
⑤ ニュースの内容を変えたり、否定したりするもの。
⑥ ニュース及び解説の内容と著しく調和を欠くもの。
⑦ 迷信を否定したり、科学を否定したりするもの。
⑧ 私設の結婚媒介業、私的通信クラブ、無許可の職業紹介機関に関するもの。
⑨ 特定の対象に呼びかける通信、通知及びこれに類似するもので、内容がその対象だけに関係するもの(電波法、公衆電気通信法に触れるもの)。
ただし、人命その他社会的影響のある場合を除く。
⑩ 金融関係法令に認められていない金融業、利殖業に類するもの。
⑪ 係争中の問題に関する一方的声明。
⑫ 商品、サービス内容のいかがわしいもの。
⑬ 秘密裏に使用するものや、家庭内の話題として一般に不適当と認められるもの。
(6)取り扱いに注意する広告
次に掲げるものは取り扱い上特に注意する。
① 医薬品、化粧品及び保険のコマーシャル・メッセージで「薬事法」「医療法」及び「保険募集の取締に関する法律」に触れるおそれのあるもの。
② 疾病に伴う苦痛又は病的場面を、言葉、音響などで不快に描写又は劇化しているもの。
③ ある薬品を使えば全治するという主張や、「安全だ」「危険がない」「無害である」又はそれに類似する意味の言葉の使用。
④ 聴取者を自ら重病にかかっていると信じさせるような病状の描写。
⑤ 食料品のコマーシャル・メッセージで「食品衛生法」などに触れるおそれのあるもの。
特に栄養効果などについて誇張や虚偽にわたるおそれのあるもの。
⑥ 正当でない方法で入手した証言、使用したものの実際の見解でない証言、無記名の証言。
⑦ 占い、心霊術、骨相、人相の鑑定などに関するもの。
⑧ 寄付金の募集。
⑨ 聴取者が景品又は贈呈品の価値を誇大に受け取るような描写。
⑩ 過度の児童の射幸心や購買心をそそるような描写。
⑪ 教育施設又は、教育事業のコマーシャル・メッセージで、進学・就職などの利便について誇張のおそれのあるもの。
⑫ アマチュア・スポーツ団体の規定に触れるおそれのあるもの。
⑬ 風紀上いかがわしいと認められるもの。
備 考
商業番組又はスポット・アナウンスメント放送時間については、公平な自由競争に反する独占的利用を認めない。その他原則として「日本民間放送連盟放送基準」による。
なお、この放送番組の編集基準は、社内に掲示して一般に周知させるものとする。